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文化祭バンドにおすすめの機材セットアップガイド

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Mr.わに

文化祭でバンド演奏に挑戦してみたい!と思っているけれど、難しそうだと感じる方も多いのではないでしょうか?

文化祭でのライブは最も盛り上がるイベントと言っても良いでしょう。

しかし、バンド初心者の高校生や大学生にとって機材のセットアップは簡単ではありません。

この記事では、元軽音部、現AVエンジニアの私が、文化祭でのバンド演奏に必要な機材やセットアップ方法について解説します。

初心者の方々もこのガイドを読んで、スムーズに機材を扱えるようになることを目指しましょう!

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1. 文化祭バンドの基本構成と機材

一般的なバンド構成の紹介

文化祭での一般的なバンド構成は以下のような構成ではないでしょうか?

  • ボーカル: 1人
  • ギター: 2人 (リードギターとリズムギター)
  • ベース: 1人
  • ドラム: 1人
  • キーボード: 1人

この構成を基に、それぞれの楽器に必要な機材を見ていきましょう。

各楽器の役割と機材の概要

各パートごとに必要な機材をざっと並べてみます。

  • ボーカル: マイク、マイクスタンド
  • ギター: ギターアンプ、ギターケーブル、(エフェクター)
  • ベース: ベースアンプ、ベースケーブル、(エフェクター)
  • ドラム: ドラムセット、ドラムマイク
  • キーボード: キーボードスタンド、キーボードアンプ or ダイレクトボックス

これらの機材は、基本的に各楽器奏者が自前で用意することになります。

ここまでは皆さん馴染み深いのではないのでしょうか?

しかし、ライブをするには共通で必要となる機材もあります。

それがPAシステムと呼ばれる、ミキサー、スピーカー、モニタースピーカーです。

PAシステムや必要機材についての詳細は、別の記事で紹介していますので是非そちらも参考にして下さい。

これらの機材を中心に、次の章では接続方法を解説します。

2. 機材の接続方法

できるだけ概念図や写真で分かりやすく解説します。

慣れない機材で難しいと感じるかもしれませんが、実際に試してみるとそれほど難しくはないことがわかりますよ。

まずは次からの説明を見よう見真似でやってみましょう!

各楽器とミキサーの接続方法

各楽器からの音をミキサーに送るためには、以下のように接続します。

ボーカルマイク

XLRケーブルでミキサーのマイク入力に接続します。

XLRのマイクケーブルを使いましょう。距離も長いものを用意して下さいね。
ギターアンプ

ギターアンプのラインアウトまたはアンプ前に楽器用マイクを立ててミキサーに接続します。ラインアウトを接続する場合は、ライン入力へ、マイクの場合はマイク入力へ接続します。

小型ミキサーだとマイク入力が足りなくなることも…入出力数は事前にチェックしよう!
ベースアンプ

ベースアンプのラインアウトまたはDIアウトからミキサーのライン入力に接続します。

ドラムマイク

各ドラムマイクをXLRケーブルでミキサーのマイク入力に接続します。

ドラムマイクの数はミキサーの入出力数を見てから考えよう!初心者ならまずは2本ぐらいから始めてみよう!
キーボード

キーボードのラインアウトからミキサーのライン入力に接続します。

ミキサーまでの距離がある場合は、ベース同様DIを使って接続する方法もあり!

ミキサーとスピーカーの接続方法

ミキサーからスピーカーへの接続は、主に以下の2つの方法があります。

  1. パワードスピーカーの場合: ミキサーのメインアウトからスピーカーの入力にXLRまたはTRSケーブルで接続します。
    パワードスピーカーには内蔵アンプがあるため、直接ミキサーから接続することができます。
  2. パワーアンプとパッシブスピーカーの場合: ミキサーのメインアウトからパワーアンプの入力にXLRまたはTRSケーブルで接続し、パワーアンプの出力からスピーカーへスピーカーケーブルで接続します。
    スピーカーケーブルの端子はスピーカーによって形が異なるので、事前に確認しておきましょう。

モニタースピーカーの接続方法

モニタースピーカーは、演奏者が自分たちの演奏を確認するために使用されます。

ミキサーのメインアウトではなく、“AUX”“センド”と呼ばれる出力を使います。

※入出力の少ない小型ミキサーではこのAUXが付いていないものもあります!

ライブ演奏のためのミキサーを選ぶときは、必ずAUX出力があるものを選びましょう!

接続方法は以下の通りです。

メインスピーカーとモニタースピーカーの接続例です。モニタースピーカーはAUXやSENDから出力しましょう
  1. パワードモニタースピーカーの場合: ミキサーのオーディオセンド(AUX)からモニタースピーカーの入力にXLRまたはTRSケーブルで接続します。
  2. パワーアンプとパッシブモニタースピーカーの場合: ミキサーのオーディオセンド(AUX)からパワーアンプの入力にXLRまたはTRSケーブルで接続し、パワーアンプの出力からモニタースピーカーへスピーカーケーブルで接続します。

接続は以上で終了です。

そんなに手順は多くないので、順番にやっていけばすぐにできるようになりますよ!

さて次はサウンドチェックです。スピーカーから音を出してみましょう!

3. サウンドチェックのポイント

文化祭バンドのパフォーマンスでは、サウンドチェックが非常に重要です。

適切な音量バランスやイコライザーの調整が、良い演奏をサポートします。

ここでは、サウンドチェックの際に注意すべきポイントを2つ紹介します。

各楽器の音量バランス調整

サウンドチェックの最初のステップは、各楽器の音量バランスを調整することです。

基本的には以下の手順で進めましょう。

  1. まず、ドラムの音量を調整します。キックドラム、スネアドラム、ハイハット、タム、シンバルの順でそれぞれの音量を適切に設定します。
  2. 次に、ベースの音量を調整します。ドラムとのバランスを確認しながら、適切な音量に設定します。
  3. ギターの音量を調整します。リードギターとリズムギターのバランスを考慮し、ドラムとベースとの調和がとれるように調整します。
  4. キーボードの音量を調整します。他の楽器とのバランスを確認しながら、適切な音量に設定します。
  5. 最後に、ボーカルの音量を調整します。他の楽器とのバランスを考慮し、クリアに聞こえる音量に設定します。

このプロセスを繰り返し、全体の音量バランスが良い状態になるまで調整しましょう。

イコライザーの調整方法

イコライザーを調整することで、各楽器の音質や音色を最適化できます。

以下のポイントに注意しながら、イコライザーを調整しましょう。

音を鳴らしながらいじってみてどう変化するか実際に聞いてみましょう!
  1. 低域(Low)の調整: 低域は、特にベースやキックドラムに影響を与えます。
    過剰な低域は音がぼやける原因になるため、適切な量に抑えましょう。
    また、低域を適度にカットすることで、全体の音が明瞭になります。
    ボーカル用マイクはここをある程度カットしてやることで、聞き取りやすくなります。
  2. 中低域(Low-Mid)の調整: 中低域は、音の暖かみや厚みに関わります。
    過剰な中低域は音がもろくなる原因になりますが、適度に調整することで楽器同士のバランスを整えることができます。
  3. 中域(Mid)の調整: 中域は、ボーカルやギターの音色に大きく関わります。
    適切な中域の調整で、楽器同士の音が重なりすぎず、クリアなサウンドを実現できます。
    中域を適度にブーストすることで、ボーカルやギターの存在感を高めることができます。
  4. 中高域(High-Mid)の調整: 中高域は、楽器の鳴りや明瞭さに影響します。
    中高域を適度にブーストすることで、音のクリアさや立体感を向上させることができます。
    ただし、過剰な中高域は音が耳障りになるため、注意が必要です。
  5. 高域(High)の調整: 高域は、シンバルやハイハットなどの音の明瞭さに関係します。
    適切な高域の調整で、音の透明感や空気感を表現できます。
    ただし、高域を過剰にブーストすると音が刺々しくなるので、注意しましょう。

イコライザーの調整は、正直初心者が扱うには難しく、繊細な作業です。

ミキサーによっては、High ,Mid,Lowの3種類ぐらいしか付いていないかもしれませんが、

この3つのつまみをいじるだけでも全然音が変わりますよ!

文字で見るより実際試して耳で聞いてみて下さい、音響屋さんがよく言っているのは

「百見は一聞にしかず」

いろんな音響屋さん

です。

慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、理想的なサウンドを追い求める人は繰り返し調整していきましょう!

4. モニタリングシステムの設定

モニタリングシステムは、演奏者が自分たちの音を適切に聞くことができるようにするために重要です。

今回は初心者向けとして、小型のミキサーを使用し、モニタースピーカーを2台だけ設置できる状況を想定します。

このシチュエーションにおけるモニタリングシステムの設定方法を紹介します。

モニタースピーカーの配置

モニタースピーカーが2台しか設置できない場合、以下のように配置することをおすすめします。

中央配置

ステージの中央にモニタースピーカーを2台設置し、その両側に演奏者を配置します。この方法で、ステージ上のすべてのパートがモニタースピーカーからの音を聞くことができますが、音の聞こえ方に個人差が出ることがあります。

全体に満遍なくモニターを返してあげる配置です。
ボーカルとメインパートに配置

ボーカルの前に1台のモニタースピーカーを設置し、もう1台はメインパート(ギター、ベース、キーボードなど)の間に設置します。これにより、ボーカルと他の主要なパートが音を確認しやすくなります。

ボーカルは、モニタースピーカーから以外自分の声を聞けないので必ず返してあげましょう。他のパートはバンドによってメインを決めて下さい。

モニターミックスの調整方法

モニターミックスは、バンドメンバーがステージ上で自分たちの音を適切に聞くために重要な要素です。

モニターミックスの調整方法は以下の通りです。

  1. ボーカルの音量を最初に調整: ボーカルは他のパートと比べて自分の音を聞き取りにくいため、最初にボーカルの音量を調整しましょう。
    ボーカルが自分の声を聞きやすいレベルになるようにミキサーで調整してください。
  2. 各楽器の音量を調整: 次に、各楽器の音量を調整します。モニタースピーカーから聞こえる音量が演奏者にとって適切なレベルになるように調整してください。
    演奏者同士でコミュニケーションを取りながら、最適な音量バランスを見つけてください。
  3. モニターミックスを確認: 軽く曲で合わせてみて、モニターミックスが適切であることを確認してください。

5. トラブルシューティング

ライブにトラブルはつきもの。メジャーなトラブルは事前に抑えておこう!

ハウリング対策

ハウリングはマイクが拾った音がスピーカーから再生され、再びマイクに拾われることで発生する音です。

キーンだったりボーンだったりと状況によって聞こえる音はさまざまですが、発生するとそのままではとてもライブはできません。

以下の方法を試してみて、ハウリングを防ぎましょう。

マイクの向きを調整

マイクをスピーカーから遠ざけ、スピーカーに向かっていない方向に向けてください。

ゲインとボリュームの調整

マイクのゲインとボリュームを適切なレベルに調整し、過剰な増幅を避けてください。

イコライザーを利用

ミキサーのイコライザーを使用して、フィードバックの原因となる特定の周波数をカットします。

TOAさんのホームページにハウリングが起こっている周波数を当てるゲームがあります。

どんな音がどこの周波数帯なのかは段々とわかってきますが、こういったゲームで慣れておくのも面白いですね。

音の歪みやノイズの原因と対策

音の歪みやノイズは、機材やケーブルの問題だけでなく、操作ミスや周囲の環境によっても発生することがあります。

ノイズが発生したら原因を探りながら、以下の対策を行ってください。

  1. ゲインとボリュームの調整: 各楽器やマイクのゲインとボリュームを適切に設定し、クリッピングや過剰な増幅を回避します。
    これにより、音の歪みを最小限に抑えることができます。
  2. ケーブルのチェック: ケーブルが正しく接続されているか確認し、損傷や折れがないかチェックします。
    問題がある場合は、ケーブルを交換してください。特に自作ケーブルや安価なケーブルは要注意です。
  3. 電源の確認: 機器の電源が正しく接続されているか確認し、電源タップや延長コードの使用を適切に行ってください。
    音声ケーブルが電源ケーブルと近い場合は、できるだけ離してみて下さい。ノイズが改善するかもしれません。
  4. 環境ノイズの対策: 演奏場所の周囲にあるノイズ源(エアコン、扇風機など)を特定し、可能であれば遠ざけるかオフにしてください。
    また、ミキサーやアンプの近くにスマートフォンなどの電子機器を置かないように注意しましょう。電波を拾ってノイズが発生してしまう可能性があります。

これらの対策を行うことで、文化祭バンドでの音の歪みやノイズを軽減し、クリアなサウンドを楽しむことができるようになります。

6. まとめ

本記事では、文化祭バンド初心者向けに、必要な機材とその設定方法について解説しました。手順を再確認しましょう。

  1. 各楽器とミキサーの接続
  2. ミキサーとスピーカーの接続
  3. モニタースピーカーの設置と接続
  4. サウンドチェック(音量バランス調整、イコライザー調整)
  5. モニタリングシステムの設定(モニタースピーカー配置、モニターミックス調整)
  6. トラブルシューティング(フィードバック対策、ケーブルの接続不良対処法、音の歪みやノイズの対策)

初心者にとって、機材のセットアップやサウンドチェックは練習を重ねることで慣れることが重要です。

最初は手間取るかもしれませんが、繰り返し実践を行うことで、より効率的なセットアップができるようになります。

また、バンドメンバー全員が機材についての基本的な知識を持つことで、トラブルが発生した際にも冷静に対処できるようになります。

本記事の内容を参考に、素晴らしい音楽演奏を文化祭で披露できるように、バンドメンバーと一緒に準備に取り組みましょう。

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ABOUT ME
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音響デザイン教室 管理人
音響設計・AVシステム設計をやっている自称アコースティック・エンジニアです。 日常の中で出くわす音のお悩み、音響機器紹介、ノウハウなど音に関することを色んな角度から記事にしていきます。 趣味でバンド活動・DTMをやってます。この辺のノウハウも発信していきます。
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