音響機器を守ろう 正しい電源のON/OFF
PA機材やオーディオシステムには電源を入れる順番、切る順番が決まっています。
順番を間違えたり、一斉に入り切りした場合スピーカーからボンッという不安な音が鳴ります。
最近の機器は多くの場合すぐに壊れることはありませんが(実際に一括ON/OFFで運営している施設もよく見かけます)、大切な音響機器を守るためにも正しい順番は知っておきましょう。
正しい入れ方
基本ルール
鉄則は1つだけで、アンプの電源を最後に入れてください。
とはいえ他の機器の順番はどうでもいいのかと言えばそうではありません。
基本はインプット側から順番に入れていき、最後にアンプの電源を入れるようにしましょう。
具体例
この場合は、プレーヤー(どちらが先でもOK)→ミキサー→アンプの順で電源を入れていきます。
機材が増えて複雑なシステムになったとしても基本的な考え方は同じです。
信号が送られていく順で電源を入れましょう。
ボンッとなる原因
音響機器の電源を立ち上げた時の「突入電流」によってポップノイズと呼ばれるノイズが発生します。
電源ON/OFFでボンッと鳴る音の原因のほとんどはこのポップノイズです。
ノイズ信号自体は小さいのですが、アンプの電源がONになっているとノイズ信号を増幅してしまい、スピーカーからボンッという音が出てしまいます。
逆に言うと、アンプの電源がOFFのままであればノイズが発生しても信号が増幅されることはなく、レベルの小さいままでいてくれます。
こういった理由でアンプの電源は最後に入れることが鉄則なのです。
正しい切り方
切り方は入れ方の逆で、アンプの電源を最初に切ってください。
電源OFFの瞬間もONの瞬間と同様にノイズが発生します。
このノイズ信号を増幅させなければ良いので、増幅器であるアンプの電源を最初にOFFしましょう。
施設で一括100VのON/OFFで運営しているところをよく見かけます。
電源管理の方法としては分かりやすく便利ではあるのですが、アンプのボリュームが上がったまま全ての機器の電源が一括で落ちることになるので、ポップノイズはアンプの電源が落ち切る前に増幅され、ボンっという音が鳴ってしまいます。
これが多数のコーナーにスピーカーシステムが入っていると、運営終了時に一括電源OFFすると大音量でボンッという音が響き渡ることになります。
おすすめアイテム
パワーディストリビューター
システムが複雑になってくると電源の管理も一苦労です。
ここまで読んだ方はこう思いませんか?
電源の入り切りの順番はわかったけど、機器が多くて順番に入り切りするのがめんどくさい!
設計者がいくら説明しても、運営の人は機械が苦手だったりしますのでなかなか伝わりません。
こんな人たちのためにオススメアイテムがあります。
それがパワーディストリビューターです。
パワーディストリビューターとはなんぞやとお思いの方、簡単にいうとスイッチ付き電源タップです。
ただしこの電源タップ、物によってはディレイ機能がついていて、スイッチをON/OFFするときコンセントごとに決まった順番で電源をON/OFFしてくれます。
つまりアンプを最後に電源ON,最初に電源OFFするように設定することが可能です。
パワーディストリビューターを導入することで電源の管理もいちいち順番を気にすることなく、
スイッチひとつで正しい順番の電源ON/OFFをすることが可能です。
また、多くのパワーディストリビューターは連携機能が付いていて、一つ電源をON/OFFすると連動して接続された他のパワーディストリビューターもON/OFFされるようになります。
ディレイタイマー
電源を切る順番があるということは、言い換えれば電源を切る時間をずらせばいいということなので、電子工作が得意な方はこういった物を取り入れてもいいかもしれません。
番外編:ギターアンプの場合
ギターアンプの電源を入切した時にもボンっと音が鳴ります。
これもポップノイズですが、構造上少なからず発生するものなのでそこまで気にすることはありません。
ただしスタジオやライブハウスで使用する場合には、マナーとして電源を切る時には全てのつまみをゼロにしてから電源を切るようにしましょう。