レビュー 「音響映像設備マニュアル2021」
なぜこの本を手に取ったのか
私は普段、業務でAVシステム設計をやっています。
今でこそ機器についてある程度わかるようにはなりましたが、機器については学校で何かを習ったわけでもなく、会社で何か研修してくれるわけでもなく現場で一つ一つ覚えていくしかありませんでした。
私は幸いバンド活動をしていたので、機器の扱いに抵抗はありませんでした。
しかし、最近の新人くんを見てると何から勉強すればよいかわからず困惑している姿をよく見かけます。
そんな新人くんに教える立場になってしまったため、基礎的なことから勉強できる資料はないかしらと探していてこの本に出会いました。
少し値段は張りますが、基礎から応用・実例まで乗っていて初心者必携の書だと思います。
この記事では、「音響映像設備マニュアル2021」の特徴について解説します。
気になった人は是非手に取ってみてください!
この本の特徴
基礎知識編・音響設備編・映像設備編・照明設備編・資料編の全5章によって構成されています。
各章では、基礎中の基礎知識から現場でよく聞く言葉の解説まで網羅されていて初心者にとっつきやすい内容になっています。
特にこれらのジャンルは専門知識が多く、言葉の意味がわからないと会話にならないことが多々あります。
この本の特徴として、解説が文字だけでなく図や写真が多く使われているのもポイントです。
コンプの解説や無線機器の周波数帯などわかりやすく解説されていますよ!
また、設計者目線や施工者目線など色々な目線から書かれているのも特徴的で、まさに実用書といった感じです。
おすすめ3つの理由
1.情報が最新である
これらのジャンルは機器仕様の移り変わりが激しく、次々に新しい物が出てきています。
本書では2021年時点で最新の用語までピックアップされており、近年流行りの配信機材についても取り上げられています。
本書は2019年版なども出版されていますが、初心者の方は特にバックナンバーではなく最新のものを買うことをおすすめします。
基礎的な内容については時代が経っても説明は変わりませんが、その時代時代でよく使われている機器は変化していますので、常に最新の内容に触れるようにしましょう。
2.システム実例の紹介
全5章とは別にカラーで特集が組まれています。
劇場、施設、スタジオなど最前線の設備が機材リスト付きで紹介されています。
普段目にすることができない機器ラックの写真やバックヤードの写真もあり、大変参考になります。
また本編でもちょこちょこシステムブロック図を載せてくれていて、設計の参考にしています。
システム設計は実績あるシステムを参考にすることが多いので、設計者にとってこれらは貴重な資料です。
システムブロック図については過去記事も参考にして見てください。
3.現場あるあるが多い
現場最前線の人が監修しているからか、あるあるが多く読んでて普通に楽しいです。
一番あるなーと思った話はシステム施工についての話でした。
本の中では建築依頼工事について、電気容量や貫通処理など言いたい放題の要望を出す人がいるが周りの人のことを考えなさいと書かれてあります。
これシステム設計者ならわかるかもしれませんが、本当に好き放題言ってる人よく見かけます。
依頼工事についてはお互い歩み寄って、どちらかに負荷がかかりすぎないようにしたいです。
おすすめしたい人
システム設計初心者にはもちろんおすすめの一冊ですが、中堅設計者にも是非読んで欲しいです。
中堅者はほとんどの人が現場経験で学んだ人だと思います。
もちろん現場経験で事足りてれば良いのですが、後輩たちを正しく育てるためにも正しい言葉と内容を伝えて欲しいです。
また、舞台関係の学生さんやPAやイベントに興味ある方にもおすすめです。
イベントというよりは設備寄りの内容がメインではありますが、使える知識は数多くあると思います。
まとめ
「音響映像設備マニュアル2021」のレビューをさせていただきました。
最初は初心者に教えるための教材としてこの本を手に取りましたが、実際自分自身の方が学ぶ内容が多かったです。
経験だけでなんとかするのではなく、日々勉強していかないとなーと改めて思うことができた一冊でした。
初心者だけでなく経験者にもオススメできる一冊です!
少し値段は張りますが、気になった方は是非手に取って見てください!